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磁性流体とサーモモジュールからスタートしたフェローテック。
半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置に用いられる真空シールで世界シェアトップを維持しています。
そのフェローテックが、今もっとも力を注いでいるのが太陽電池関連事業。
フェローテックはどこに向かおうとしているのか、山村章社長に話を聞きました。

── 山村社長は技術畑出身ですが、どのような関係で今の事業と関わりを。

山村 私は、1966年慶応大学工学部を卒業後、米国のノースイースタン大学大学院でサーモモジュールの研究を専攻しました。 69年、卒業後はサーモモジュールの開発・製造を行うケンブリッジ・サーミオックス社を皮切りに数社にお世話になりました。 この間、ハーバードビジネススクールで学ぶ以上の経験を米国での実業をとおして学んだと思っています。 1960年代、NASA(米国航空宇宙局)は、アポロ計画の中で無重力の空間を飛ぶロケットエンジンにポンプなしで液体燃料を送るために磁性流体を考案していました。 人間が月面に到着した後、開発に携わった2人がフェローフルイディクス社を立ち上げます。1979年に私もその会社に参加しました。

── 日本法人の責任者として帰国され、その後フェローテックを立ち上げられたそうですね。

山村 磁性流体は、スピーカー装置の熱を逃がして音を滑らかにするというので音響メーカーに広がりました。 日本国内でも拡販するため、1980年には私が日本法人の責任者として帰国しました。 初めは音響メーカーへの売込みが中心でしたが、しばらくすると半導体の研究機関から真空装置にという話が寄せられ、そのうち半導体製造装置メーカーからも受注が来るようになりました。 ゴミを嫌う半導体製造工程では、半導体の品質や歩留まりを高めるために機密性の高い装置が必要とされていました。 仕事が順調に動き始めると面白くなり国内工場を立ち上げ、1987年には米国の親会社からMBOして独立することになりました。

── JASDAQに上場するのは独立してから10年目のことでしたね。

山村 1992年に中国に進出し、サーモモジュールなど汎用品は中国工場に移管しましたが、事業を拡大するとなると事業資金が必要になります。 そこで1996年に店頭公開(現JASDAQ)に株式を公開します。 その後、投資家の皆様の応援を得て、1999年には元の親会社も友好的に買収しました。 おかげでビジネスをグローバルに展開することができました。

── フェローテックといえば、太陽電池用シリコン結晶製造装置ですが、このビジネスに参入した理由をお聞かせください。

山村 環境問題への高まりとともに当社にも太陽電池の基板となるシリコンインゴットの単結晶引上装置を作って欲しいという話を頂きました。 当社は80年代初頭、半導体用の単結晶引上装置の販売、メンテナンスをしていた実績があり、短期間に中国で量産化をすることができました。 単結晶引上装置には、自社製品の真空シールが使われます。 真空シールは、半導体業界で信頼され世界シェアで約7割を誇る当社のコア技術の製品です。他社との差別化はこの真空シールのおかげです。

── 太陽電池関連事業に今後も経営資源を投下するのですか。

山村 各国政府の補助金政策もあり、再生可能エネルギーを利用する太陽電池の普及はこれからいよいよ本番を迎えると思います。 全世界の設置量が7.3ギガワットと順調に拡大しており、欧州企業や日本企業からの太陽電池パネルや太陽電池セルのOEM生産が中国で急増し、当社はシリコン単結晶引上装置とシリコン多結晶製造装置、石英るつぼを販売しています。 また、グリーンニューディール政策を掲げる米国市場の動きに対応するため、オレゴン州で石英るつぼの生産工場を稼働させる計画です。 結晶製造装置のほか、周辺装置、検査機器、消耗品を順次手がけていきたいと思っています。

── 山村社長の頭の中にはビジネスの新しいシーズがいっぱいのようですね。

山村 CO2削減の声が高まる中、電力消費量が少ないLED(発光ダイオード)の普及はさらに高まるでしょう。 LEDを製造する製造装置への当社製品の拡販も有望です。 また、当社の米国子会社が先ごろLED用途などに用いられる電子ビーム蒸着システムを持つ英国企業の事業部門を譲り受けました。 新たな事業の柱になることでしょう。
 これからの将来を考えると「環境」「食糧」「水」「医療」など地球規模のテーマを無視することはできません。 限られた資源やエネルギーを有効に活用しつつ、人々に平穏な暮らしを実現するため、当社グループもあらゆる可能性を探り、さらなる事業の拡大に努めてまいります。
 株主の皆様におかれましては、当社事業の発展にご期待ください。

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